徒然なるままに » 大井川鐵道の続きです。
大井川鐵道本線の終点千頭駅から井川駅まで井川線が走っています。この路線の愛称は「
南アルプスあぷとライン」。日本で唯一のアプト式区間があることから名付けられたもののようです。
軌間は JR 在来線と同じ 1067mm ですが、車両は桁外れに小さいものです。元々井川線はダム建設用の専用鉄道として 762mm の軌間で建設されました。今でもトンネルなどは岩がむき出しで、当時を忍ばせます。その後改軌されたため、建設当時の車両限界のままの車両の大きさになっているようです。
車内は2列+1列のクロスシート。一部トロッコ風の開放されたデッキを持つ車両も連結されていました。
アプト区間を除けば非電化ですので、ディーゼル機関車が客車を引っ張る、押し上げることになります。「押し上げる」というのは、このディーゼル機関車が千頭側に固定で連結されているためです。その場合、井川側の先頭客車にある運転席で運転するようです。
大井川鐵道本線と同様、この路線も大井川沿いにゆっくりと上っていきます。途中の奥泉駅、接阻峡温泉駅あたり以外はほとんど人家もないところを走ります。土本駅付近には3軒の民家があるのみです。その3軒とも「土本」さんなのだそうです。土本駅は民家があるだけまだましです。尾盛駅は本当に周囲に何もありません。それどころか、この駅に通じる道路もありません。正真正銘の秘境駅です。さすが、ダム建設用として敷設されただけはあります。
そんな井川線ですが、今では完全な観光路線ということで、ここでも車掌さんがいろいろとアナウンスを行ってくれます。また、車両のドアは手動式のため、各駅毎に車掌さんは走り回られていて、なかなか大変そうです。
この路線の愛称ともなっているアプトいちしろ駅・長島ダム駅間のアプト区間。この区間だけは電化されていて専用の
アプト式電気機関車を最後尾に連結し、最大 90‰の急勾配を押し上げます。アプト式というのは、2本のレールの間に歯を持ったラックレールを設置し、機関車などにつけた歯車とかみ合わせながら進む方式です。
元々の井川線はアプト式を採用していたわけではありません。
長島ダム建設に伴い、旧線が水没するための新線付け替えの際に採用されたものだそうです。その
旧線の一部を奥大井湖上駅あたりから遠くに見ることができます。
接阻峡温泉駅を過ぎたあたりから、接阻峡と呼ばれる峡谷に沿って進みます。紅葉の季節はたいそう美しいものなのだそうです。新緑の季節も悪くはありませんでしたけどね。
途中、私鉄としては日本一の高さを誇る関の沢橋梁を渡ります。水面からの高さ 100m ということで遙か眼下に見える河に向けてシャッターを切ったのですが、何が何やらよくわかりませんね。(左下写真)
関の沢橋梁を渡るとなんと静岡市
葵区なんだそうです。参考までに静岡市役所の所在地も葵区。さすが日本一の面積を持つ市だっただけはあります。今では5番目だそうですけど。ちなみに現在の上位4市は、高山市、浜松市、日光市、北見市です。静岡県内の2政令都市はどちらもベスト5に入っているのですね。そういえば一昨年
飯田線に乗った際に、「こんなところが浜松市?」と驚いたことを思い出しました。
ということで、終点の井川駅(右上写真)も静岡市。井川駅前からは静岡行きのバスも出ています。ただしこの時期は1日1本で、静岡駅までは1時間半ほどかかるようですけどね。
勿論そのバスには乗らずに、同じ路線を最終列車で戻りました。最終列車の井川駅発は 15:48。何とも早い最終列車です。
アプト区間は下りの場合も先頭に専用電気機関車が連結されます。引っ張るというより、一生懸命下で支えているといった感じでしょうか。
今回はただ往復しただけでしたが、奥大井湖上駅や接阻峡温泉駅あたりでハイキングを楽しんだり、少し足を伸ばして寸又峡温泉あたりで一泊するのも良さそうです。